当モデルは当店の保有する在庫限りで廃盤が決定しているモデルとなります。
かねてから大泉氏とは『フルタング』について話し合ってきました。
トラディショナルなプーッコの『ラットテールタング』や、ブッシュクラフター(作名)の『ナロータング』でも、必要十分な強度は確保できているからです。
その証拠に、私や大泉氏がこれほどタフに使っていて、何の問題も起きていないのです。
しかし、言うまでもなく『フルタングはさらにタフ』なのは、周知の事実。
氏が作るトラディショナルなプーッコの、扱いやすさと切れ味をそのままに、さらなるタフネスを求めても良いのではないか・・・?
そして完成したのがこの『スカウト』です。
持ってみればわかる。
切ってみればわかる。
これまでの大泉氏のプーッコを使ってきたユーザーなら、なんら違和感なく、まるで大泉氏のプーッコがそのままフルタングになったかのような切り込みを見せる。
ハンドル形状はフルタングの重厚さとバランス間にマッチングしながらも、プーッコ本来の丸みを帯びた形状をうまく融合させており、なんとも不思議だが手になじんで扱いやすい。
ハンドル内部の鋼材はバランス良く肉抜きされている。勿論ラットテールタングの伝統的なプーッコに比べて重量は増す。
しかしなんというか、このサイズ、重量、形状、デザイン、全てがパーフェクト。
確かに小ぶりである。その他のフルタングナイフに比べて一回りは小さいだろう。
しかしこれは、大泉氏が日本のブッシュクラフターのためにつくっているのだということを鑑みるに、本当にベストな作りなのである。
何が他と違うのか。
以下、長いです。
【ブッシュクラフト・スカンジ と トラディショナル・スカンジ の良いとこ取り】
英国系のブッシュクラフトナイフのスカンジによくみられる、ベベルの低いスカンジナビアンエッジを、『UKスカンジ、イングリッシュスカンジ、ブッシュクラフトスカンジ』などと呼んでいる。
さらに、それがフルタングやナロータングであってブレード形状も本来のプーッコのそれとは大きく違う場合は尚その傾向にあると区別している。
これは現時点で普及している区別ではないと思うが、ブッシュクラフターは同じことを考えていたようだ。
私、相馬は、英語圏の人々が好むことから「イングリッシュスカンジ」と呼び始め、大泉氏は「ブッシュクラフタースカンジ」、スズキサトル氏は「UKスカンジ」などと呼んでいた。
これは互いにナイフ談義をしていて気づいたことである。『これは区別すべきほどに違う』というのは、みな同じ思いだったのだろう。
これからは本職である大泉氏に倣って私は「ブッシュクラフトスカンジ」と呼ぼうかと思う。
※以後省略してBCスカンジと、T(トラディショナル)スカンジ
さて、このBCスカンジとTスカンジの違いだが、ブレードの中央より上からベベルが始まるものをTスカンジ、下から始まるものをBCスカンジと大別してみたい。
必ずしもそうというわけでもない(中央より上から始まるだけで全然トラディショナルではないナイフもある)のだが、概ねそのように考えていただきたい。この考え方のベースは大泉氏である。
そしてこのスカウトだが、ベベルがほぼ中央に位置していて、鋭角さを犠牲にしていない。これが、BCスカンジのカテゴリでありながらTスカンジの切り込みの良さを阻害しないポイントの一つである。
それでも、これまでの大泉氏のプーッコに比べてブレードに厚みがあり、エッジも鈍角になったことでエッジの耐久性は飛躍的に向上している。
その上で、その他の量産プーッコやブッシュクラフトナイフとは違い、セカンダリベベルやマイクロベベルを設けていない。ごくわずかに刃先をストロッピングすることで和包丁のハマグリ刃のような仕上がりになっており、鋭さと丈夫さを両立している。
ハンドルは前述のとおりだが、バット部に飛び出した鋼材により、よりタフな使い方も想定している。
また、シースに伝統プーッコの要素が入っており、木製インナー付きのレザーシースとなっている。ただし、インナーシースは挿入口から見たときコの字で、体にフィットする側には木が無い。これは分厚くなったブレードとのバランスや、抜き差しのしやすさを考慮してのことかと思う。
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Bush'n Blade>
プーッコ発祥の地、フィンランド。
ここに暮らし、ネイチャーガイド業のかたわら、プーッコをハンドメイドしているのが、Bush'n Bladeを営む大泉氏だ。
大泉氏といえば、本場フィンランドにおける
ブッシュクラフト・ワークをYoutubeで公開したことから、日本はもちろん世界中から知られるようになった。
現在では、そのテクニックや知識、わかりやすい解説が好評を呼び、日本人ブッシュクラフターとしては最も影響力のある人物である。その人柄も人気の理由だろう。
最近では、雑誌「モノマガジン」やアウトドア雑誌「Fielder」のブッシュクラフト関係の特集で登場している。
ブッシュクラフトは北欧が発祥と考えられ、中でもフィンランドやスウェーデンは聖地といわれている。
本場のブッシュクラフトを得意とする人間にとってプーッコナイフは欠かせない。ネイチャーガイドにとっては最重要ツールである。
そんな大泉氏が、故郷である日本での普及を、当店にお任せしてくれるというのだ。
これはとても光栄なことである。
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【フルタングプーッコスカウトの仕様】
刃渡り:90mm
全長:約220mm
刃厚:約4mm
重量:約170g
鋼材:80Crv2(炭素鋼)
※ハンドメイド品のため若干個体差があります。
※お届けする製品の杢目は写真と異なります。
※刻印は写真と異なる場合があります。
※ナイフ本体は利き手を選ばない仕様ですが、
シースはご注文時に左右をお選びいただけます。
作り置きされた在庫品のみの販売になりますのでシースは右利き仕様のみとなります。
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<大泉氏のつくるプーッコ>
全てが、大泉氏ただ一人によるハンドメイドである。
そのため量産はできず、「その固体」は世界に一つしかない仕上がりになっている。
一言でいえば、「最高に使いやすいナイフ」である。まず全体のバランスがすこぶる良く、一切の無駄がない。
特に工作に向くナイフで、火熾し、調理、道具作りの面でこのナイフの右に出るものは、そうそう無いだろう。
このナイフで、サバイバリストのように「ナイフ一本で全てまかなう」という野暮な使い方はやめてほしい。
仮にそれが良く出来たサバイバルナイフであったとしても、ノコギリや斧を別で持つほうが合理的で、消費するエネルギーも時間も、そして怪我も少なくてすむ。
ナイフ一本で全てをまかなうというのは、あくまで緊急時やトレーニングであって、実用的な手段ではない。
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<最優秀賞獲得!>
プーッコ発祥の地フィンランド。
2016年、フィンランドプーッコ協会主催のコンペティションにて、Bush'n Blade(大泉氏)がモダンプーッコの部で最優秀賞を獲得しました。
これは、日本刀のコンペで外国人が優勝するようなもので、衝撃的なニュースとなりました。
<鋼材がバージョンアップ!>
このナイフは、2016年秋からBush'n Bladeが新規に導入した80crv2鋼材を100%採用。
炭素含有量は0.8%と控えめな数値ながら切れ味はキープ。そのうえで刃持ちが格段に良くなり、研ぎやすい鋼材になっています。
<プーッコについて>
現在では、フィンランド(スカンジナビアン)の伝統的な様式のナイフを指してそう呼ばれている。
絶対的な基本としては、セカンダリーベベルの無い直線的なエッジ形成がスカンジナビアン様式の特徴。
これは、ブレードの中腹あたりからまっすぐ刃先にかけて研磨されている形状のことを言い、小刃がない。
そのため切れ味・刃の食いが良く、細やかな木工に向くものが多い。また、研ぎやすいのも特徴である。
このように、スカンジナビアン様式ナイフの総称ということになるが、北欧民族サーミ(※)が使っているような、製法に決まりのある伝統的「サーミプーッコ」もある。
当店で取り扱っている、『
IIVALIN PUUKKO TEHDAS』や『
MORA』も、プーッコの一種を低価格で量産している。
<当店は Bush'n Blade の日本総代理店です>
同工房のナイフは、当店にて在庫販売しております。
国内流通は全て当店にて承らせていただいておりますので、予めご了承くださいませ。
特注品につきましては個別対応となりますため、別途お問い合わせください。
※サーミ、サーメ、サミ等と呼び方は様々。詳しくはウィキペディアをお調べください。