イーバリン・プーッコ 『ゴブリンズ・キャビネット』

審査員コメント - 大泉 評点10

アイディア、技術、デザインどれも素晴らしいです。細部にも気を配り全体のバランスが良く取れた、非常に完成度の高い作品です。


審査員コメント - スズキ 評点10

まずその発想力のセンスと工作技術に大変驚かされました。
シース自体に独特の世界観がありまるでロードオブザリングのような世界から飛び出て来た雰囲気があります。また特徴的な開閉可能なシースの中身は見た目の印象とは相反する大変実用的なサバイバルキットの構成となっており、またそれがかえっていい意味でとてもボクの印象に残りました。
これを持って野外へ冒険の旅に出掛けたくなるようなそんな楽しいカスタムだと思いました。


審査員コメント - 相馬 評点10

文句のつけようがない作品です。シースを展開するというアイデアもそうですが、それを具現化する技術力や造形のセンス、強度の確保も素晴らしいです。ナイフ本体はハンドルをカービングしただけなので純正の信頼性も確保されています。サバイバリストとしては収納物をどうしようか、夢が膨らむ作品ですね。


作者氏名:桂 様

年齢:32歳

性別:男

先ずはナイフの説明から始めます。

丸みを帯びたハンドルは、両サイドを水平に削り落とし、少しカービングを加えました。

グリップ力が増し、納刀時のシースのシルエットを出来るだけスマートにすると同時に、シースの中で刃が何処にも触れないようになっています。

ハンドルのエイジング加工も施しました。
ブレード自体は、シェイプもグラインドもそのままです。
 


このシースは小物入れになっています。

誇大に謳えるほどの収納力はありませんが、アルトイズ缶を見ると血が騒ぐ我々ならばあまり問題はないと思っています。

留め革との兼ね合いを考え、安直に革の二つ折りにはせず、真鍮の蝶番を使う事で閉じた際のズレを防ぎました。

このシースの性質上、やはり強度の確保が最大の課題でした。
弱点の1つである蝶番は、使い続ける事で釘が抜けてしまうと考え、買った時に付属していた真鍮釘は使わず、ネジ式のヒートンで締め込み、さらに接着剤で留めています。

本体と蝶番の間には、1ミリ厚の柔らかい仔牛革を挟んで接着しています。
本体と蝶番の接着面が安定し、締めしろを多く作れる上、スプリングワッシャーのような効果もちょっとだけ期待しています。

ヒートンのアイをそのままにしているのは、ただカッコ良かったからです。

内部には1センチ幅の収納空間があります。
納刀時や、外部圧力で内部が歪まないよう、外殻には1ミリ厚のステンレス板を仕込み、それを2ミリ厚の革で挟んでいます。

結果、外殻、可動部ともに実際に手にとって見ていただきたいほどの剛性を持たせることに成功しました。
このシースで殴られたなら、私は絶命するでしょう。 というのは嘘ですが、それほど頑丈に出来ています。

ベルトループとシース本体を繋ぐ真鍮の角カンは既製品ではなく、丸棒を曲げて作りました。
この角カンのおかげで、ベルトから下げた状態の本体を起こして中の物を見やすく取り出しやすいようにしてあります。

留め革とシース表面の模様はドキドキしながらフリーハンドで描きました。留め革はトリック編みにしています。

ベルトループとグリップの間に隙間があるので抜刀しやすくなりましたが、これは嬉しい誤算です。

あと、これはカスタムナイフとは関係ありませんが、鹿ヅノでトリガータイプのファイヤースチールも作ってみました。

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